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日本共産党 須藤五郎
東京都は、8月30日に、台東区にある産業労働会館という地域住民を対象とした同和施設を、狭山裁判現地闘争本部として解放同盟朝田派が使用するのを同会館運営協議会の反対を押し切って許可しております。解放同盟朝田派は、この会館に長さ9メートルに及ぶ狭山現地闘争本部という看板を掲げ、宿泊設備もないところに外部からふとんを持ち込んで泊り込むなど、事務所同然に使用いたしました。この結果、地域住民の会館利用は著しく制限されました。そればかりか、この産労会館を舞台として去る9月16日、解放同盟朝田派と野合して使用していた暴力集団中核派は革マル派の襲撃を受け、いわゆる内ゲバが発生し、流血騒ぎとなり、救急車、パトカー3台、警官30人が出動するという事態となりました。解放同盟朝田派はこの事件に対する警察や館長の事情調査を拒否し、完全な無法区域と化し、周辺住民に大きな不安を与えました。公共施設の不法な使用許可、また不法な利用が内ゲバにまで発展しているのであります。自治大臣は、本来の目的に反して公共施設の使用許可が与えられていることについてどうお考えになりますか。公安委員長は、公共施設において内ゲバが行なわれていることをどう思われるか。当日の状況、警察の対応について説明をされたいと思います。
また東京都は、10月11日付で同会館使用を申請した部落解放同盟正常化東京都連絡会議に対して、知事が使用を不適当と認めるという以外の何らの理由を示すことなく不許可にいたしました。一方に対しては約1カ月にわたって不法使用を認めながら、解放同盟正常化連に対しては理由もなく使用させないということを続けている。いま上田議員の質問にありました通達の立場から言って、これについての自治大臣の見解を伺いたいと思います。
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自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官 福田一
ただいまは自治大臣と国家公安委員長に対する御質問でございますので、分けて申し上げますが、自治大臣といたしましては、地方公共団体が暴力によってその自主性をゆがめられて、そうして行政をしておるとしたならば、そういうことはあってはならないとわれわれは考えておるわけでございます。暴力は、絶対にこれは否定されなければならないのでありますが、ただいま具体的な問題について御質問がありましたから、警察の立場からちょっと御答弁をさせていただきますが、警察は同和問題であるといなとを問わず、また地方自治体であると個人であるとを問わず、およそ集団暴力等によって被害を受けた事実を認知した場合においては、法の規定に基づきまして、事態に応じて警告、制止、検挙等所要の警察措置を講じてまいっているところでございます。
お尋ねの東京都民生局の問題につきましては、本年8月下旬ごろ部落解放同盟東京都連合会が、同和予算の要求に関し東京都民生局長と交渉した事実については承知をいたしておりますが、本交渉の過程において都側から、暴力行為とか施設占拠等につき被害申告等を受けた事実はございません。
なお、この産業労働会館を部落解放同盟が使用した事実は、先ほど御案内がありましたとおり事実があることは承知いたしておりますけれども、しかし同会館の使用については、お尋ねのような不正使用ではなく、部落解放同盟が管理者である東京都から正式に許可を受けて使用していたと聞いております。したがって、同会館の使用をめぐって、東京都から警視庁に対して警備要請等は全然なかったということでございます。
労働会館の内ゲバのお話でありますが、お尋ねの件は本年9月16日に発生した事案をさしているものと考えますが、9月16日の午後1時30分ごろ、東京都営産業労働会館の管理人から、会館の玄関付近で15~16人がけんかをしているとの110番へ通報がございました。直ちに所轄浅草警察署からパトカーが現場に急行いたしましたところ、会館入口付近に20人くらいの者がいたので事情を聞きましたが、内輪げんかだから関係がないと言って事情聴取に応じませんでした。このような状況で関係者の協力が全く得られない、事態を把握するに支障を生じたのでございますが、その後、革共同の革マル派が前進派を襲撃した内ゲバ事件であったと両派が機関紙等で言っているので、この点をも含め事案の解明につとめているのが、ただいまの警察としての措置でございます。